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【SAPとは何か】メリット、デメリットから、全体像を掴むためのポイント総まとめ

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SAP社のERPパッケージの特徴

「SAP」とは、ERPシステムの名称で、その製品を開発するドイツの会社の社名でもあります。SAPは多くの企業で導入されており、世界で最も需要があるERPソリューションの一つとなっています。
S/4HANAを導入した企業は2018年6月末時点で全世界で8,900社以上と紹介されています。
(参考:SAPジャパン、多様な業種・業界・企業規模でSAP S/4HANA®の導入が浸透 – SAP Japan プレスルーム

SAPは他のERP製品には通常備わっていない以下のような特徴があります。

企業規模に関係なく導入可能
一般的なERP製品は特定の規模の企業向け開発されていることが通常ですが、SAPは小企業にも大企業にも導入することが可能です。システムはモジュールに分かれており、企業は自社ビジネスに合わせて必要なモジュールだけを導入することができます。

業界を問わず導入が可能
ERPシステムは特定の業界に合わせて開発されているものもあります。例えば、TradeGecko社の提供するERPソリューションは小売業、卸売業、販売業向けとなっていて、Ellucian社は教育機関向けのものとなっています。それに比べSAPは、あらゆる業界の企業への導入が可能になっています。

拡張性に優れている
多くの企業にとって、ビジネスの規模拡大とそれに対する業務の変更に合わせてシステムのスペックを調整していくことは重要なタスクになります。SAPはそのサーバー構成、モジュール化、カスタマイズ機能によって、企業のビジネスに合わせて性能を拡張していくことが可能です。

ユーザービリティに優れている
一般的にERPは多くの業務をサポートできる必要があるため、複雑なものになります。それが原因となりERPシステムを使いこなすためにはキャッチアップに時間を取られてしまうことが多いです。しかし、SAPはユーザービリティに優れています。ケーススタディが豊富で、不要な機能を削除することもできるため、ユーザーは短い期間で使い方を習得することができます。

SAPモジュールの構成内容

SAPは業務領域ごとに分けられたモジュールで構成されています。

財務会計(Financial Accounting, FI)
SAP FIは財務会計のモジュールで、会社の取引、債権、債務などを管理します。販売管理や購買管理のモジュールから連携される実績データの処理や、貸借対照表、損益計算書など社外向けの財務諸表を作成する機能などが備わっています。

管理会計(Controling, CO)
SAP COは管理会計のモジュールで、原価を管理します。購買管理、生産管理、販売管理から連携されたデータをもとに原価を計算・管理する機能や、売上と原価から品目、得意先、国、プラントなどごとに収益を分析する機能などを備えています。

販売管理(Sales and Distribution, SD)
SAP SDは販売管理のモジュールで、見積、受注、出荷、請求といった販売のプロセスを管理します。返品などイレギュラーなケースの業務にも対応しており、請求情報はSAP FIへデータ連携し管理することができます。

購買管理/在庫管理(Material Management, MM)
SAP MMは購買管理/在庫管理のモジュールで、企業がモノを購入するプロセスとその在庫を管理します。現場が備品の発注依頼を出し、購買部が仕入れ先にその発注を行い、モノが届いた後にそれを倉庫に入庫するというプロセスの管理や、在庫管理(ある備品がどの倉庫にどのくらいあるのか、など)をサポートする機能を備えています。

物流管理(Logistics Execution, LE)
SAP LEは物流管理のモジュールで、出荷プロセスを詳細に管理します。受注した製品の顧客への納入予定日から郵送日程を計画する機能(いつまでに製品を生産すればいいか、などを計算する)や、最適な輸送経路の決定をサポートする機能などを備えています。

生産計画/管理(Production Planning and Control, PP)
SAP PPは生産計画/管理のモジュールで、生産のプロセスを管理します。顧客からの受注や需要見込みから製品の生産量を決定し、原材料の発注量の計算などを行います。また、実際に製品がどのくらい生産できたか、原材料はどのくらい消費したか、作業にどのくらい時間がかかったかといった実績を管理します。

品質管理(Quality Management, QM)
SAP QMは品質管理モジュールで、企業で購入した備品や、生産した製品の品質を管理します。品質検査計画を作成・管理のサポート機能、品質検査中の備品や商品を使用できないようにする機能などを備えています。

SAP社が提供する4種類のERPとそれぞれの違い

SAPは4種類のERPパッケージをリリースしています。企業の規模やニーズに合わせて最適なソリューションが提供されます。

SAP ERP Central Component (ECC)
2004年から導入が開始された最も成功したERP製品の一つで、ECC(読み方は「イーシーシー」)と呼ばれています。Fortune500の企業の8割以上がこの製品を導入しています。
10のモジュール(コンポーネントという言い方をされる時もある)から構成されており、各モジュール間でスムーズなデータ連携ができるため、多くの業務のサポートと効果的な連携が可能になります。サポート期限が2025年まで(一部は2027年まで)となっています。

SAP S/4HANA
2015年2月にリリースされたオンプレミスでもクラウドでも使用できる中堅企業および大企業向けのERP製品です。ECCよりも優れたデータ処理能力を備えており、企業のビジネスデータをリアルタイムで処理することができます。
AI、機械学習、IoTなどの仕組みも取り入れており、常に変化するビジネス要求に対し柔軟に対応することが可能です。

SAP Business ByDesign
中堅・中小企業、大企業の子会社および海外拠点などでの導入に適しているSaaS型のERPサービスです。
SaaS型のサービスであるため、オンプレミス型のERPシステムと比較すると初期コストが抑えられることや短期間で導入できることが魅力になっています。

SAP Business One
スタートアップ企業、中小企業向けの短期間で導入が可能なERPシステムです。業務データのリアルタイム連携による迅速な経営判断の実現、CRM関連の機能での適切な顧客対応、多通貨・多言語対応によるグローバルビジネスの推進などが強みとなっています。

SAP導入のメリット

SAP導入の代表的なメリットを解説します。

業務プロセスの標準化
SAPは多種多様な業務をサポートしており、導入することで社内の業務をベストプラクティス(SAP社がこれまでに多くの企業にERPの導入する過程で培ったノウハウ)に基づきながら作り込んでいくことができるようになります。

多くの企業で実績があるプロセスを導入することで、業務を効率化することが可能です。

データの有効活用による効率化
SAPは他社と比べるとサポートできる業務範囲が圧倒的に多く(会計、販売、購買、在庫、物流、生産、品質、など)、多くの部門を連動させる形で業務データを有効に活用することができ、業務を効率化することができます。

部門をまたぐ複雑な業務の効率化も可能であるため、企業の生産性を格段に上げることが可能です。

リアルタイムでの情報の可視化
ERP製品には夜間のバッチ処理などでしか蓄積したデータの処理や連携ができないためタイムラグが発生してしまう製品もありますが、SAPは高性能でありリアルタイムでの情報処理や連携に対応しています。

業務の効率化のみならず、迅速な経営判断にも役立ちます。

SAP導入のデメリット

SAP導入のデメリットとしては、人材不足によりそもそも導入するということ自体が難しくなるということが挙げられます。

SAPジャパンは「今後、数年間のうちに数千人規模でSAPコンサルタント人材不足が顕在化する」と発表しています。その背景にあるのが「2027年問題」と呼ばれている「SAPのサポートの終了」です。

SAP ECCは2027年にサポートが終了してしまうため、SAPを導入している多くの企業はそれまでにシステムを新製品のSAP S/4 HANAなどに刷新する必要があります。

そのため、今後SAPの導入プロジェクトを立ち上げる場合、企業はSAP導入の経験やスキルを持つコンサルタントやシステムエンジニアを確保することが難しくなることが予想されています。

SAP導入手順

SAPの導入手順はプロジェクトによって多少異なりますが、一般的には以下で説明する手順で進行します。

企画フェーズ
ERPシステムを導入する目的を明確にします。目的が明確になっていない場合、逆に業務負担が増えてしまうこともあります。
後続のフェーズで適切な判断ができるよう、「部門間でのデータ連携などの仕組みを利用して業務を効率化したい」、「将来的に自社ビジネスを海外展開させたい」など、導入する目的を具体化します。

要件定義フェーズ
目的を明確にした後は、システム要件、非システム要件を具体的に検討していきます。業務プロセス、業務の課題、改善したいポイントなどを洗い出します。その上で、ERPシステムを導入すれば要件を満たすことができるか、それができるのであればどのERP製品が適切かなどを検討していきます。

設計フェーズ
要件が固まった後はSAPベンダーを選定し、自社に必要な機能の選定や設計を行っていきます。SAPの機能をカスタマイズして利用する部分とアドオン開発を行う部分の切り分けを行ったうえで、作り込みが必要な機能に関してはその詳細な設計も行います。

実装フェーズ
設計後はシステム開発を行います。主にアドオン機能(自社業務に合わせて作り込む機能)の実装が中心になります。

テストフェーズ
実装後は開発した機能が想定通りに動作するかどうか検証を行います。想定通りの動作をしない部分があれば、プログラムの修正や再テストを行います。

導入フェーズ.
本番稼働に向けて準備を行います。具体的にはシステムのインフラの構築、初期設定(マスタデータの投入など)、データ移行(旧システムからデータを移行する場合)などを行います。またユーザーがシステムを使いこなすことができるようにトレーニングも実施されます。

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今回の記事では、SAPについて解説しました。コンサルティング案件などを探している方、事例を知りたい方は、ぜひfoRProまでご相談ください。

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