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【マスタデータ管理(MDM)】データ運用の注意点と重要性、ERPの活用方法を解説

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MDMとは

そもそもマスタデータ管理(MDM)とは、業務で取り扱う基本的・コアとなるデータ(マスターデータ)を全社観点で統合してデータ品質を保つ管理活動になります。

例えば顧客の住所情報などを取り扱う場合において、マスタデータ管理が行われていない最も単純な例は以下になります。

MDMが行われていない場合
ある企業のA部門とB部門のそれぞれで住所情報(住所データ)を持ち、A部門とB部門はそれぞれの住所データをもとに部門システムや基幹システムを利用する。

MDMが行われている場合
ある企業は全社的に顧客の住所情報はマスタデータとして1つだけ持ち、A部門とB部門はそのマスタデータをもとに部門システムや基幹システムを利用する。

MDMによるメリットとデメリット

メリット
MDMを行う上でのメリットは、大きく「高度なデータ分析活動が可能となる」「データ集計・見直しコストの削減」の2点になります。

各部門・システムで個別に管理しているデータがMDMにより統合されると、各部門に閉じたデータ分析でなく、全社的なデータ分析ができるようになります。結果として得られた分析データは従来よりも高度に活用できる可能性があります。

また、各部門・システムで個別にデータを管理している場合は、部門横断的な業務を行う際に必ずデータ集計作業や部門間での確認作業などが発生します。この点についてもMDMさえしていれば、そもそも削減・回避することができるという効果があります。

デメリット
MDMを行う上でのデメリットは、データの正確さと一貫性を担保・管理するためにコストを割く必要があるという点です。

正常にデータ管理できている際には顕在化しませんが、例えばあるシステムでデータにエラーが発生すると、そのデータを使用する全てのアプリケーションでエラーが発生する可能性があります。

マスタデータ設計・運用・管理面での注意点

実際にMDMを行うに当たり、ここではデータ設計および運用、管理面での注意点について説明していきます。

設計面での注意点
当然ですが、マスタデータの定義を行うことが最も重要です。

通常マスタデータはトランザクションデータ(アプリケーションやシステム利用時に発生する処理の詳細を記録したデータ)と比較して、システム利用時の更新頻度が少ないデータを対象として定義します。

更新頻度が低いが業務実施上重要であるデータをマスタデータとして定義することが第一歩です。

続いて、マスタデータを業務ドメイン(種類)ごとに分類することも重要です。

ドメインは一般的に「顧客」「製品」「ロケーション」「契約」の4つに分類されることが多いです。

これらのドメインは更新頻度が少ないデータに関連するドメインとなりますが、上記4つでも分類が大雑把になる場合はさらに1段階深堀りしてサブドメインを設定する必要があります。

例えば顧客ドメインであれば、サブドメインとして顧客基本情報・顧客属性・営業担当者といった分類を行うことがあります。もちろんこのサブドメインをさらに細分化することも考慮する必要があります。

これまで述べてきた注意点については、マスタデータ管理の導入初期にのみ検討すればよい話ではありません。

現在はマスタデータのセットが1つしかない(例えば顧客マスタなど)企業であっても、企業合併や統合、買収といったことを経て企業規模を成長させていく場合は合併・統合・買収先が持っている独自のマスタデータとの統合についても考慮する必要があります。

将来を見越して、同一のマスタ同士の統合がしやすいようなマスタ設計にしておくことは常に意識しておくことが重要です。

運用面での注意点
登録したマスタデータおよび更新したマスタデータについては定期的にデータメンテナンスを行うことが重要です。

データメンテナンスを行わない場合、過去には利用していたが現在では利用されなくなったデータや誤って登録したデータが放置されることになります。

データ基盤上にこれらのゴミとなるデータが残っている場合、業務上誤ったオペレーションが行われる可能性が生じるため、データメンテナンスを行いゴミデータを削除する対応が必要となります。

データメンテナンスを踏まえ、有効なデータと無効なデータを判別するためのフラグ情報を持たせることでゴミデータとそうでないデータを判別しやすくすることができます。

また、メンテナンス時のオペレーションミスを考慮して、データは物理削除する・論理削除するかのルールを策定する、ということも重要です。

管理面での注意点
マスタデータ管理上で重要な点は「マスタ設定のルール・基準の策定」「マスタ登録・更新時の手順の策定」の2点に集約されます。

マスタ設定のルール・基準の策定においては、具体的に命名規則や登録単位について特に詳細に定めておく必要があります。この点を定めておかないと後続業務へ影響が生じたり、追加でデータメンテナンス作業を行う必要が生じます。

例えば取引先マスタがあった場合、取引先企業の名称を「株式会社~」と入力するのか「~(株)」と入力するのかという悩みがあります。

暗黙的に取引先企業の正式名称に合わせる、ということが共通認識としてあったとしても、明示的にルール化しておかないとマスタ管理上支障が生じる可能性があります。

もし誰かが誤った命名規則でデータ登録をした場合、そのデータを利用した業務(例えば取引先企業への請求書発行業務、など)で業務上の支障が発生することに繋がります。些細なことですが命名規則の策定は管理面での重要なポイントです。

また、データの登録単位、具体的には登録最小単位にも注意が必要です。

先ほどの取引先マスタであれば、会社を最小単位とするのか部署を最小単位とするかにより、後続業務への影響が生じる可能性が生じます。

マスタ登録・更新時の手順の策定についてはマスタデータ登録時の属人性を排除することが目的です。

属人性を排除しないと人によって作業内容や登録結果が変わる可能性があります。先ほどの取引先企業の正式名称であれば暗黙的な共通認識で回避されることもありますが、各個人の判断によって登録内容が異なるデータも数多くあるため、手順の統一・ルール策定も管理面では必須の対応であると言えます。

MDMで使われるサービス

ソリューション・サービスの導入
MDMを行うに当たり、自社でスクラッチで行うことも可能ですが、MDMサービスやERPを導入することでより容易に全社的なデータ連携基盤を構築することが可能になります。

MDMサービス
Multidomain Master Data Management(Informatica)

Informatica社が提供するMDMサービスになります。

サービス名の通りマルチドメイン(マスタデータドメイン全体)においてマスタデータ管理が可能である点が特徴です。

また、マスタデータとトランザクションデータの関連付けも可能であり、提供形態もクラウド・オンプレミスの両者から選択可能です。
(参考:インフォマティカ

TIBCO EBX Software(TIBCO)
TIBCO社が提供するMDMサービスになります。

この製品もInformatica社と同様にマルチドメイン(マスタデータドメイン全体)においてマスタデータ管理が可能です。

加えてモデル駆動型(複雑なUIよりも、データをより素早く確認できることに重きを置いた設計)である点も特徴です。
(参考:TIBCO

SAS MDM(SAS)

データ分析製品で有名なSASもMDMサービスを提供しています。

単なるデータ統合・データ管理に留まらずデータ分析まで見据えた統合データ基盤を構築したい場合や、既にSASを導入している場合は、検討対象として挙がることが多いです。
(参考:SAS Data Management | SAS

ERP製品

SAP Master Data Governance(SAP)
ERPとして有名なSAPですが、SASもMDMサービスを提供しています。

上記のMDMサービスとは違う特徴としては、マスタデータ管理を行う主体が各業務部門となるモデルを推奨している点です。

IT部門が各マスタデータ管理の主体となるのではなく、各業務部門が各マスタデータ管理の主体となり全社的なデータ整合性を担保する必要がある場合は、検討対象として挙がることが多いです。
(参考:SAP Master Data Governance

MDMの導入事例

ここではMDMの導入事例を紹介します。

Informaticaの導入事例
MDMソリューションとしてInformaticaを導入した事例になります。

三菱ケミカルシステム社は全社的なデータマネジメントに関して課題を感じており、解決のためにInformaticaを導入しました。

具体的にはオンプレミスのシステムとクラウド上のアプリケーション間のデータ連携やデータレイクの整備などを行っています。
(参考:オンプレミス&クラウドの、ハイブリッドなデータ連携基盤を実現した三菱ケミカルシステム)

TIBCO EBX Software
こちらはTIBCO EBX Softwareを導入した事例になります。

パネラブレッド社も同様にデータマネジメントに関して課題を感じており、解決のためにTIBCO EBX Softwareを導入しました。

これにより、データマネジメントプラットフォームを構築し、メニュー・価格・税金・ロケーションやその他さまざまな種類のデータを含んだ統一されたインターフェースを簡単に導入/維持することができました。
(参考:Panera Bread 活用事例 – TIBCO

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