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【自治体DX】アナログ体制を変革するためのポイント総まとめ

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自治体DXの目的

自治体DXとは、デジタルを活用し、住民の利便性向上・行政の業務効率化を目指す取り組みです。

政府としても自治体DX推進が必要であるという大きな問題意識を持っています。政府は目指すべきデジタル社会のビジョンを次の通り示しておりますが、本ビジョンを実現するためには住民に身近な行政を担う自治体の役割が極めて重要とされております。

※目指すべきデジタル社会のビジョン
「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」

また、自治体においては次の取り組みを進めていくことが重要であるとされています。
・自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して住民の利便性を向上させること
・デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスの更なる向上に繋げていくこと

これら取り組みを通じて、「行政サービスの改善を通じた住民にとっての利便性の増大」と「行政の業務効率化」を実現することが自治体DXの大きな目的です。

自治体が抱えている課題 とは

自治体がDX推進に迫られる必要性、その背景はどこにあるのでしょうか。

労働人口の減少 
人口減少、少子高齢化が進む日本では将来的に多くの労働力不足が発生すると予測されています。これは自治体における職員の確保にも大きな影響を及ぼすものです。

総務省が地方公共団体の職員数の推移を公表しておりますが、すでに自治体の職員数は減少傾向にあります。平成6年がピークであった職員数は、令和3年時点で約15%も減少しています。

(参考:地方公共団体の職員数の推移(総務省)

これから日本全体で労働力の確保が厳しくなっていく状況が予想される中、自治体における職員の確保もこれまで以上に難しいものとなることが想定されます。

限られた職員数のもと、いかに住民の方々に充実した行政サービスを提供していくかは非常に重要なテーマとなります。

アナログ文化からの脱却
自治体における働き方改革・業務効率化の推進も大きなテーマです。

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業では在宅勤務・テレワークが拡大しています。ただし、紙文化の根が深い自治体の場合には、それら対応を円滑に進めることが困難なケースもあります。

また、アナログ文化のもとでの業務は生産性という観点からも大きな問題をもたらします。デジタル化が不十分な場合には、どうしても業務に非効率な部分が生じてしまいます。

これまでの働き方をどのように変えていくのかが非常に重要な課題となっています。

どのように自治体DXを推進していくか 

このような自治体が抱える課題の解決に向け、どのようにDXを進めていけばよいのでしょうか。

政府は2020年12月25日に「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を公表しています。本計画では、自治体が重点的に取り組むべき事項として次の6点が示されています。

1. 自治体の情報システムの標準化・共通化 
2. マイナンバーカードの普及促進 
3. 自治体の行政手続のオンライン化 
4. 自治体のAI・RPAの利用推進 
5. テレワークの推進 
6. セキュリティ対策の徹底
(参考:自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画(総務省)

ここでは、それぞれのポイントを順番に紹介します。

1. 自治体の情報システムの標準化・共通化
2025年度を目標とし、複数の業務システムを国の策定する標準仕様に則ったシステムへ移行させていきます。

自治体の情報システムは、これまで各自治体が独自に開発を進めてきました。そのため、システムの管理や制度改正による改修対応なども自治体個別に対応をせざるを得ず、自治体職員にとって負担の大きい仕事となっています。

本対応によって、職員負担の軽減を図るとともに、住民サービスの向上を実現していくことを目指します。

2. マイナンバーカードの普及促進
出張申請受付の積極的な実施、臨時交付窓口の開設などにより、マイナンバーカードの交付体制を充実させます。

これまで紙で行われていた行政サービスのオンライン化は、利用者の利便性向上だけでなく、自治体における業務効率化にもつながるものです。

このようなデジタル化を進めていくにあたり、オンラインで確実に本人確認を行うことができるマイナンバーカードは必要不可欠であり、普及に向けた取り組みを加速させていきます。

3. 自治体の行政手続のオンライン化
行政手続のオンライン化を進めるにあたっては、特に以下のような対応を優先的に進めていくこととされています。

・処理件数が多く、住民等の利便性向上や自治体における業務効率化の効果が大きいと考えられる手続きに関する対応
・住民のライフイベントに際し、多数存在する手続きをワンストップで行うために必要とされる対応

これらを皮切りに多様な手続きの積極的なオンライン化を進めていきます。

4. 自治体のAI・RPAの利用推進
国の作成するAI・RPA導入ガイドブックを参考に、AIやRPAの導入・活用を進めます。

AIやRPAは自治体の業務を改善する有力なツールであり、積極的な活用が求められます。

また、これらの活用にあたっては、データの集積による機能向上や費用負担軽減という観点から、複数自治体共同での活用についても検討することが望ましいとされています。
(参考:治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(令和3年6月)(総務省)
(参考:自治体におけるRPA導入ガイドブック(令和3年1月)(総務省)

5. テレワークの推進 
自治体の情報システムの標準化・共通化、行政手続のオンライン化の進捗状況も踏まえながら、自治体職員のテレワークを推進していきます。

テレワークは、ICTを活用し、時間や場所を有効に活用することができる柔軟な働き方を実現するものです。職員ひとりひとりのライフステージにあった多様な働き方を実現していくうえでの「働き方改革」の切り札とされています。

6. セキュリティ対策の徹底
情報セキュリティ対策の徹底、個人情報保護の強化に向けて以下の取り組みを進めます。

・「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を踏まえた自治体における情報セキュリティポリシーの見直し、その運用
・自治体情報セキュリティクラウドについて、国が設定した高いセキュリティレベルを満たす民間のクラウドサービス利用へと移行
(参考:地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和4年3月改訂版)(総務省)

自治体DXを推進するためのポイント 

自治体DXを推進するにあたって重点的に取り組むべき事項はわかったものの、具体的にどのように取り組みを進めればよいのでしょうか。

このような疑問に対する回答として、政府が2021年7月7日に「自治体DX全体手順書【第1.0版】」を公表しています。

本手順書において、自治体におけるDX推進の手順として大きく4つのステップが示されております。

DXにこれから着手するという自治体はステップ0から取り組み始めることが望ましいですが、既に取り組みが進んでいる自治体では、その進捗に応じたステップから対応を実施することが効果的です。

ステップ0. DXの認識共有・機運醸成
ステップ1. 全体方針の決定
ステップ2. 推進体制の整備
ステップ3. DXの取組みの実行
(参考:自治体DX全体手順書【第1.0版】(令和3年7月7日)(総務省)

ここでは、それぞれのポイントを順番に紹介します。

ステップ0. DXの認識共有・機運醸成
自治体DXを推進していくためには、自治体の首長・職員がその必要性を十分理解し、リーダーシップやコミットメントを発揮することが不可欠です。DXは身近で実践できるものであるということに納得感を持ち、自らそれを実践していこうという意識作りが重要です。

また、自治体DXは行政の業務効率化にとどまらず、利用者中心の行政サービス改革を進めるものであるという視点が欠かせません。取り組みを進めるにあたっての前提として、このような共通理解を形成していくことが求められます。

ステップ1. 全体方針の決定
自治体DX推進のビジョンと工程表を定めることで、全体方針を決定します。

取り組みを総合的かつ効果的に実施していくために、全体方針を広く自治体内で共有することが望まれます。

ビジョンを作成するにあたっては、国が示す「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を参考にすることができます。
(参考:デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針(令和2年12月)

同方針を踏まえながら、地域の実情を踏まえたビジョンを作成し、それぞれの自治体におけるデジタル化の進捗を踏まえながら、取り組み内容やその手順を大まかな工程表としてまとめていきます。

ステップ2. 推進体制の整備
組織・人材の両面から、自治体DXの推進体制を整備します。組織については、全庁的・横断的な推進体制を構築することが重要です。司令塔となる担当部門を設置のうえで、同部門と各業務担当部門が緊密に連携する体制が望まれます。

人材については、デジタル人材の確保・育成が重要です。

自治体の各部門の役割に見合ったデジタル人材が配置されるよう人材育成に取り組んでいきます。人材のリソースが不足する場合には、外部人材の登用や民間事業者への業務委託なども検討することが効果的です。

ステップ3. DXの取組みの実行
個別のDXに関する取り組みを計画的に実行していきます。実行にあたっては、PDCAサイクルによる実行管理が望ましいとされています。また、取り組みを進める中で、柔軟かつスピーディーな意思決定を求められる場合には、OODA(ウーダ)ループのフレームワークを活用することが有効です。

※ OODA(ウーダ)ループ
PDCAと異なり、計画を立てるステップがないため、迅速な意思決定を行うことが可能。

OODAとは以下の頭文字をつないだ言葉

・Observe(観察、情報収集)
・Orient(状況、方向性判断)
・Decide (意思決定)
・Act(行動、実行)

自治体DXの事例

自治体DXに先進的に取り組んでいる事例を紹介します。

先に紹介した自治体DX全体手順書の4つのステップに沿って、それぞれ参考となる事例を取り上げます。

「ステップ0. DXの認識共有・機運醸成」の事例:千葉県市川市
千葉県市川市では、自治体内外の関係者間で共通認識を得るための「DX憲章」を策定しました。取り組みの目的が「住民に対する価値創造」と「行政の投資対効果の向上」として明文化されています。自治体DXを単なるデジタル化の推進ではなく、業務の無駄を削って価値創造にシフトする改革とするためです。

また、全組織に浸透させるべき重点項目にマインド面の話を取り上げ、失敗を糧としながら主体的に行動する組織としていくことが目指されています。

(参考:自治体DX推進手順書参考事例集 【第1.0版】(令和3年7月7日)(総務省)

「ステップ1. 全体方針の決定」の事例:群馬県前橋市
群馬県前橋市では、市が果たすべき使命や存在意義(ミッション)、実現したい未来(ビジョン)、組織が持つべき共通の価値観(バリュー)を明示したDX推進計画を策定しました。

「住民の利便性向上」「新たな価値創造」「すべての住民に」を3つの柱とし、その柱のもとで重点的に取り組むべき事業を位置づけております。取り組むべき方向性や取り組み内容を広く共有しながら対応を進めています。

(引用)自治体DX推進手順書参考事例集 【第1.0版】(令和3年7月7日)(総務省)

「ステップ2. 推進体制の整備」の事例:高知県高知市
高知県高知市では、DXを全庁・横断的かつ戦略的に推進していくために、市長を本部長とする「DX推進本部」を設立しています。

DX推進本部が司令塔となり、各部門に対する取り組みの検討指示・取り組み事項の承認を行い、全体の進捗を管理しています。

分野横断的な取り組みについては、テーマごとにPT(プロジェクト・チーム)を設置し、DXに関する企画立案・実行が行われています。

(参考:自治体DX推進手順書参考事例集 【第1.0版】(令和3年7月7日)(総務省)

「ステップ3. DXの取組みの実行」の事例:滋賀県
滋賀県では、県と市町が共同でシステム調達・利用に取り組むことで、職員の事務負担や行政の費用負担軽減、住民の利便性向上が目指されています。

以前は、住民が行政手続きを申請する際に必要書類を判断することが困難であり、自治体においても住民からの問い合わせが多く、対応の負担が大きいといった課題感がありました。

このような状況を改善するため、住民にとって統一的で使いやすい手続きのインターフェースを構築するとともに、ワンストップでの行政手続きの実現に向けて取り組んでいます。

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