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金融業界は「DX時代」の課題にどう対応するか?優先的に取り組むポイントを解説

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金融業界においてDX推進が求められる理由

金融業界ではDXへの対応が急務であると言われていますが、変革が求められている理由を解説します。

「破壊的企業(ディスラプター)」の脅威
「破壊的企業(ディスラプター、Disruptor)」とは、デジタル技術を活用することによって、既存のビジネスモデルを破壊する企業のことです。決済機能は金融業界の大きなビジネスの柱であり、多くの顧客が金融機関の提供する決済手段を利用することで資金決済を行ってきました。

しかし、現在では金融業界以外の企業が提供するプラットフォームを利用することで、商品購入の代金支払いをすることが可能です。

具体例を挙げれば、インターネット決済インフラを提供している「Stripe」、ブロックチェーン技術を利用した暗号通貨と決済手段を提供している「Ripple」など、従来は金融業界が独占していたビジネスに破壊的企業が参入してきており、今後はますます大きな脅威となると考えられています。

新型コロナウイルスによる急激な社会変化への対応
新型コロナウイルスの流行により、人々の生活は大きく変わりました。他人と接触する機会を極力減らすために、キャッシュレス決済の導入が増加しており、事業者の約7割がキャッシュレス決済を既に導入しています
(参考:経済産業省の「キャッシュレス決済 実態調査アンケート 集計結果 2021年6月発表)

こうした新たに登場した競合するビジネスモデルと勝負するためにも金融業界はDXを推進して従来のビジネスモデルを進化・変革させる必要があるのです。

2025年の崖
2025年の崖とは、多くの企業で導入されているITシステムが老朽化して、企業の競争力が低下し、経済的なロスをも発生させてしまう問題を言います。

経済産業省のレポートによると、2025年前後においてITシステムに関して様々な変化が発生することが想定されています。
(参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

こうした変化に対応できなければ企業の競争力は崖を下るように低下すると考えられており、2025年以降には、最大で年間12兆円のロスを発生させる可能性が指摘されています。

金融業界が抱える課題

金融業界においてDXを推進する際の課題について解説します。

レガシーシステムへの依存
金融業界におけるレガシーシステムは、世の中の変化に対応することができないだけでなく、保守コストが高い、技術の継承が困難などの問題があります。

一方で、レガシーシステムを解体・廃棄して新たなシステムを構築するためには多額の費用がかかります。しかし、金融業界においてはIT化・デジタル化に対応した金融インフラの維持・整備が欠かせない状況になっていると言っても過言ではありません。これまで依存してきたレガシーシステムを、DXに対応した新たなシステム環境へと変革させることが必要です。

オーバーバンキングによる収益力の低下
オーバーバンキングとは主に、経済の規模に対して銀行セクターの規模が大きいこと、銀行間の競争が激烈であること、銀行の店舗・従業員が多いことを意味しています。

具体的には、かつては各県に複数の地方銀行が存在していたこと、都市銀行などの支店も全国規模で展開していたこと、などを挙げることができます。

しかし、オーバーバンキングは金融業界の過当競争を煽ることとなり結果的に金融業界の収益力を低下させることになりました。一定のパイを複数の金融機関で奪い合うわけなので、貸出金利の引き下げ圧力は強まり、これまでのような利益を稼ぐことは難しくなってきました。

オーバーバンキングを解消するために金融機関の合併・提携(県境を越えた地域合併も)は進んでいますが、規模が大きくなるだけではあまり意味がなく、業務の効率化も同時に進められる必要があります。その際には、金融業界ビジネスのDX化もより一層必要になると考えられます。

金融コングロマリット化への対応の遅れ
金融コングロマリットとは、金融業界における複合企業体のことです。 例えば、金融持株会社の下に、銀行・証券会社・保険会社などの異なる業態の金融機関をグループ化する組織を指します。 金融コングロマリット化によって、経営の効率化、金融商品の開発力向上などに資すると言われています。

しかし、内容が異なる複数の金融ビジネスを運営・統制するためには、柔軟性がある金融インフラの導入・構築が必要になり、そのためのコストもかかります。したがってDXへの対応によって効率的に金融ビジネスを変革しなければならないのです。

リテールバンキング重視路線への変化
かつては都市銀行を中心に、ホールセールバンキングに注力する金融機関が多かったのですが、大企業取引は利鞘も薄く、収益的には貢献度が低いことが分かってきたことから、住宅ローンなどのリテールバンキングを重視する金融機関が大きく増加しています。リテールバンキングは顧客のニーズにきめ細かく対応することが必要なので、そうしたニーズに対応できるシステム対応が求められます。

異業種参入による競争激化
金融業界以外の企業が親会社となっている銀行が非常に増えています。例えば、ソニー銀行、楽天銀行、Paypay銀行など、親会社がこれまで培ってきた経験をもとに新規参入した銀行はとても多く、しかも特性を活かしたサービスを展開しているため、既存の金融業界にとっては大きな脅威になっています。

金融業界にDXに必要なポイント

金融業界においてDXに必要なポイントとはどのようなものなのでしょうか。

変化に対するアレルギーの解消
金融業界は伝統的な世界のため、デジタルに伴う変化を嫌う人も少なくありません。業務効率化のためにITシステムを導入したとしても、導入前と変わらない方法で仕事を進める担当者も見受けられます。

ただのIT導入に留まらず、業務オペレーションをどのように変革するか、現場社員のマインドセットをどのように変えていくか議論することが重要です。

金融当局が求めるITガバナンスの遵守
金融当局は内部統制の観点からも、金融業界におけるITガバナンスの徹底を求めています。金融機関は規制対応のみならず、不正防止においてもITを活用した対策を強化すべき立場であるとされています。そのため、DXの推進は金融当局が求めているITガバナンスの強化に資するものであるということを明確化することが必要です。

金融業界が優先的に取り組むべきDX戦略

これまで解説してきた金融業界の課題などを踏まえると、金融業界が優先的に取り組むべきDX戦略として以下のようなものを挙げることができます。

レガシーマイグレーションによる生産性向上
レガシーマイグレーション(Legacy Migration)とは、古くなってしまった既存のシステムを新たなシステムに移行(マイグレーション)することです。

レガシーシステムは当時のビジネスの運営手順などに則しているので現在の手順にはマッチしておらず、無駄な時間やコストが発生しているケースも多いです。そこでレガシーマイグレーションによって現在のビジネスに適したシステムの活用が可能になるので生産性は大きく向上するでしょう。

オーバーバンキングに対する経営効率の向上と高付加価値化
上述したように、オーバーバンキング状態の解消には他行との合併などが有効ではありますが、同時に経営効率を向上させることも必要です。金融業界の業務をIT化・デジタル化することによって極力無駄を排除して効率アップと高付加価値化を図ることはDX戦略の枢要になります。

金融コングロマリット化・リテールバンキング重視・異業種参入への対応 
上述した金融コングロマリット化・リテールバンキング重視・異業種参入などの金融業界を取り巻く環境の急激な変化に対してもDXを活用した金融ビジネスモデルの変革による対応が必要になります。

重要なのは新たなIT技術やデジタルテクノロジーを導入することではなく、具体的にどのような金融機関として存在意義を発揮することが可能なのかという具体的なビジョンを明確に定めてDXを推進することです。

金融業界におけるDXの成功事例

金融業界におけるDXの成功事例として、三菱UFJフィナンシャル・グループ、肥後銀行、アフラック生命保険3社のケースをご紹介します。

三菱UFJフィナンシャル・グループ
三菱UFJフィナンシャル・グループは、デジタルトランスフォーメーション戦略を2017年に発表しています。デジタルを活用した事業変革を目標に掲げて、顧客の利便性アップ、ビジネスプロセスの改革、国内外におけるチャネルの変革などを目指しています。

直近の取り組みとしては、リスク管理システムのEoS(End of Support)対応をきっかけとする、クラウド上にグループ全体の共同システム基盤を構築したケースを挙げることができます。
*EoS(End of Support):製品に関する問い合わせ受け付け・修理・交換などのサポートサービスの提供が打ち切られる期限のこと
(参考:デジタルトランスフォーメーション戦略(三菱UFJファイナンスグループ)

肥後銀行
熊本の地方銀行である肥後銀行では、行内で顧客に接する従業員にタブレットを持たせて口座開設・入金などの申し込み手続きを各自が実施できるようにしています。タブレットに入力したデータはそのままシステムに反映されるようになっているので、入力業務や登録業務の必要がありません。

また、顧客側も何度も申し込み用紙に情報を記載することが不要になったので、手続きが簡略化され利便性も大幅にアップしました。
(参考:肥後銀行DX戦略

アフラック生命保険
米国アフラックグループの日本子会社であるアフラック生命保険は2020年9月にデジタルトランスフォーメーション戦略を策定しています。同社はこの戦略の中でデジタルイノベーションの積極的な活用を目標に掲げています。
(参考:DXトランスフォーメーション戦略

同社では実際に様々なデジタルテクノロジーを活用したビジネス施策や、新規サービスの提供を次々に実現させています。

例えば、顧客との会話を解析して営業支援に活用できる「AI」、「RPA」を利用した業務の効率化、音声認識や応答技術を活用してアプリやシステムを音声で操作・コントロールすることが可能な「AIスピーカー」、電話で問い合わせをする際の選択肢を顧客のスマホ画面に表示する「ビジュアルIVR」、顧客との応対向けの「3Dアバター付き音声チャットボット」など、豊富なサービス提供を実現させています。

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