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業務改革とは?コンサルファームが使う手法から、目的と進め方まで

【事例で解説】業務改革の目的と進め方、コンサルファームが使う手法までコンサルティング

業務改革が求められる背景と目的

業務改革とは何か
業務改革(BPR)とは文字通り、業務全体を刷新・改革することです。BPRとは、“Business Process Re-Engineering”の略称です。元MIT教授のマイケル・ハマー、コンサルタントのジェイムス・チャンピーらによる著作『リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新』によって1990年代初頭に広められました。

業務改革(BPR)はトヨタ的な「カイゼン」のように漸進的に企業を変えていく手法ではなく、抜本的に企業のビジネスプロセス全体を変革する手法なので、メリットだけではなく、リストラなど、痛みも伴うことがしばしばです。多くのコンサルティングファームの花形メニューの一つと言ってもいいでしょう。

業務改革(BPR)が注目されている背景
業務改革(BPR)が1990年代初頭から普及し始めたのには理由があります。

少子高齢化
言うまでもなく、日本のビジネス界での最大の懸念は、少子高齢化です。日本のビジネスの強みは国内市場の規模の大きさ、磐石さでしたが、少子高齢化によって国内市場は縮小します。また、スキルのある働き手も少なくなる未来が見えているため、需要・供給両サイドの観点から、業務改革(BPR)によってビジネスを変革する必要があるのです。

社会のデジタル化
1990年代以降、社会は急速にデジタル化しました。デジタル化することによって、顧客の需要の形も変わり、ビジネス供給側もできることが増えました。そのため、デジタル化を推し進めることで競争力を高める企業が増えてきたのです。

ビジネスのグローバル化
日本国内市場が成熟し、先行きが不安ということもあり、多くの日本企業は海外に活路を求めるようになりました。参考までに、2020年3月決算でのトヨタの売り上げの海外比率は76%にも及んでいます。(参考:auカブコム証券 『カブヨム』

業務改革(BPR)の目的・目標
一般的に、業務改革(BPR)の最終的な目的は、企業全体の売り上げを向上させることです。直接的にはムリ・ムダ・ムラをなくし、企業のビジネスプロセス全体の効率性アップを図ります。

しかし、ビジネスプロセスを変革することには、上記以外にもさまざまなメリットをもたらします。例えば、顧客満足度の向上です。今までアナログで行っていた顧客サービス業務の一部をスマホアプリなどで置き換えてデジタル化する、といった業務改革(BPR)を実施すれば、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

業務改革(BPR)と業務改善の違い

「業務改革(BPR)」と似ている概念に、「業務改善」があります。二つの違いを項目ごとにご説明します。

対象の違い
業務改革(BPR)の対象は、業務改革の目的によっては全社にも及びます。ステークホルダーを巻き込んでの大改革になることもあるでしょう。一方で業務改善の対象は、部署ごとなどに小分けにされた一つ一つの業務です。

期間・規模の違い
業務改革(BPR)は全社改革なので、常に行われるわけではなく、コンサルティングファームなどと一緒に短期間集中で実施されます。一般的には数ヶ月〜数年程度の期間がかかります。一方、業務改善は常に漸進的に行われていきます。

目的の違い
業務改革(BPR)は抜本的な改革ということもあって、その目的は業務効率化や顧客満足度の向上など、多岐にわたります。業務改善も業務効率化などを目指すものの、部分的な変革しかできないため、目指せる目的の数はより少ないです。

関係者・影響範囲の違い
業務改革(BPR)は抜本的な改革になるため、改革は全社的なものになることもしばしばで、場合によってはステークホルダーや顧客も巻き込むものになります。一方、業務改善は部分的な改善なので、部署内で収まることが多いです。

業務改革(BPR)のメリット・デメリット

業務改革(BPR)には多くのメリットがあります。代表的な業務改革のメリットをご紹介します。

業務改革(BPR)のデメリット
業務改革に伴うメリットは下記のようなものが挙げられます。

生産性の向上
業務改革(BPR)の最大の目的は業務効率化による生産性向上です。業務のムリ・ムダ・ムラを徹底的になくして効率化することで生産性は向上します。業務改革を実施することで、より少ないコストで高い売り上げを作ることができるようになります。

抜本的に変革できる
業務改革(BPR)と業務改善の大きな違いでもありますが、業務改革では企業のビジネスプロセスを抜本的に変革します。抜本改革によって、今まで企業にあった悪習や無駄などを排除し、新しく生まれ変わらせることができるのです。

コスト削減
業務改革(BPR)によって業務効率化を達成すると、コストを削減できます。物的コストや人的コストなど、さまざまなコストを抜本的に削減することができるので、削減額がかなりの金額になるケースも少なくありません。

時間を割くべき課題にリソースを割けるようになる
業務改革(BPR)を実施すると、不必要だった業務に従事していた人的リソースが自由になります。これらの人的リソースを開発や営業、マーケティングなどの業務に従事させることで、生産性のさらなる向上が期待できます。

社内のリーダー人材を育成できる
業務改革(BPR)は簡単に実施できるものではありません。反発する社内の関係者の調整や、顧客との交渉など、さまざまな困難が立ちはだかります。それらを経験する結果、社内のリーダー人材が結果的に育つことにもなります。

従業員・顧客の満足度アップ
業務改革(BPR)の目的は、供給側の無駄をなくすことだけではありません。抜本的にビジネスプロセスを変革する結果、従業員や顧客満足度の向上を図ることもできます。

業務改革(BPR)のデメリット
業務改革(BPR)にはメリットだけでなくデメリットも存在します。デメリットを一つずつご紹介します。

社内の人材流出
業務改革(BPR)は全社的な変革を伴うこともしばしばです。既存の業務をなくしてしまう決断をすることもあります。そのため、自分が従事している業務を奪われたくない社内人材の反発が予想されます。反発の結果、直接的に業務を奪われる人材だけでなく、社内の有能な人材が流出してしまう可能性も否めません。

改革が上手くいくとは限らない
業務改革(BPR)は、企業のビジネスプロセスを抜本的に変革することです。ときには、企業内の人材の反発や、構想の読み違えなどから、期待した結果が生まれないこともあるでしょう。つまり、失敗する可能性もあるのです。

新プロセスが顧客に受け入れられない可能性
業務改革(BPR)によって顧客との関わりがあるプロセスを変革した場合、上手くいけば顧客満足度向上につながりますが、その限りではありません。従来のビジネスプロセスのほうが顧客にとってわかりやすいものであった場合、逆効果になることもあります。

業務改革(BPR)の進め方

業務改革(BPR)には進め方のベストプラクティスがあります。

検討
業務改革(BPR)の最初の段階は「検討」です。まず、目的を検討します。業務効率化の向上や顧客満足度の向上、コスト削減など、どこを目指すのかを最初に定めることによって、自ずと改革の方向性が見えてくるようになります。

業務改革の目的が決まったら、次に改革すべき対象業務を選定します。対象を決めれば、どのような変革手法が正しいのか、その後の「分析」のプロセスで決定することが可能になります。

分析
「検討」段階で決定した業務改革(BPR)の目的を決定し、対象業務を選定したら、次は「分析」フェーズに入ります。「分析」フェーズでは、目的を達成すべく、業務を徹底的に分析します。

暗黙的なものも含めて業務フローを洗い出して見える化し、業務のAs-Is(現状)を正確に認識します。また、業務フローにまつわる法的規制や社内ルール、組織的な体制なども洗い出し、どの点に課題があるのか考えぬきます。

設計
「分析」フェーズで業務のAs-Is(現状)についての理解を得たら、次は「設計」フェーズです。「設計」フェーズでは、最初に定めた目的を達成すべく、ビジネスプロセスをどのように改革すべきなのかを考え、業務フローのTo-Be(あるべき姿)を設計します。

また、To-Be(あるべき姿)を実現していくために、どのようなアプローチで改革するのかも決定します。社内だけでなく、外部の専門家を巻き込むのかどうかなども決定する必要があります。

実施
現状の課題を「分析」フェーズで炙り出し、「設計」フェーズで改革のアプローチを決定すれば、次はいよいよ「実施」フェーズです。「実施」フェーズでは、改革のためのプロジェクトチームをコンサルティングファームのコンサルタントと社内メンバーとで組成します。

改革の成功には社内メンバーのエンゲージメントが不可欠になります。キーパーソンとなるような人物と密接な関係性を築き、改革プロセスをリードしていきましょう。

モニタリング
業務改革(BPR)は、実施して終わりではありません。当初に設定した目標を達成できたのかどうか、「モニタリング」フェーズで確かめることが必要になります。まず、実施が終わった段階で当初の設計通りにビジネスプロセスを変革できたのかどうかを評価します。

その後、ある程度の期間が経た後で当初の目的が達成できたのかどうか、断続的に評価を続けていく必要もあります。コンサルタントが一緒に評価するのか、社内で評価するのか、評価体制も設計しておきましょう。

業務改革(BPR)のポイント・注意点

業務改革(BPR)は一筋縄ではいきません。本項で、業務改革(BPR)を成功させるための注意点・ポイントをご紹介します。

共通認識・当事者意識を持たせる
当然ながら、業務改革(BPR)はコンサルティングファームのコンサルタントだけで達成できるものではありません。場合によっては、既存の業務をすべてなくしたり、リストラクチャリングも伴うものになります。社内人材からの反発は容易に想像できます。

そのため、改革を実施することの目的を社内に事前に共有し、十分な理解を得ることが必要です。実際の改革時に想定される反発を押し切るために、社内のキーパーソンを説得し、改革サイドに巻き込んでおきましょう。

トップ・上層部も巻き込む
業務改革(BPR)は普段の業務とは違う業務として実施されるため、社内人材のエンゲージメントは低くなりやすいです。しかし、社内人材が改革プロジェクトの中心にいなければ、業務改革(BPR)の成功は困難です。

社内人材のエンゲージメントを高めるためには、改革対象企業のトップ層を巻き込まなければなりません。トップのエンゲージメントが高ければ、自ずと社内のそれも高まります。コンサルタントはまず、企業の上層部・トップ層を巻き込みましょう。

PDCAを回す
業務改革(BPR)は、一度実施して終わり、というものではありません。「進め方」の項目でご説明した通り、「モニタリング」フェーズで断続的に評価を続けていきます。もし必要なのであれば、再度改革をする決断を行うこともあるでしょう。

つまり、改革の終了後もPDCAサイクルを回して、改革の成否を見つめ続ける必要があるのです。PDCAサイクルを回すことで、さらにビジネスプロセスを洗練させていくことができます。

目的・目標を数字に落とす
業務改革(BPR)は目的設定が重要です。定性的な目的を目指すケースであったとしても、できる限り目的・目標を定量化しておきましょう。

目的・目標が定量化されていれば、「モニタリング」フェーズで改革の成否をきちんと評価できます。評価に基づいて、再度の改革を構想することもできるでしょう。改革を「やりっぱなし」にしないべく、目標は数字に落としておきます。

具体的な業務改革(BPR)手法

本項では、具体的にどのようなアプローチの業務改革(BPR)があるのか、代表的な手法をご紹介します。

BPO
業務改革(BPR)の代表的な手法の一つが、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)です。事務業務などの一部をアウトソーシングすることで、自社リソースの事務業務を減らし、よりクリエイティブな業務に充てることができます。

BPOを通じて業務改革を実施することはこれまでも多くの企業で実施されてきたので、事例やベストプラクティスは豊富です。これから初めてBPOを実施する方は、これまでの事例を参照するといいでしょう。

業務改善SaaSの導入
業務改善のためのSaaSの導入も、業務改革(BPR)の代表的な手法です。例えば、営業プロセスにSalesforceを導入することで、営業プロセスをデジタル化し、営業業務の効率化や、営業効果のアップを図ることができます。

また、Salesforceと同様、業務改革でよく利用されるSaaSがSAPです。SAPは経理や財務、人事などのシステムを一括管理することができるシステムです。アナログで行われていた業務や、バラバラだった業務を、SAP導入によって一本化し、効率化できます。

業務プロセス改革(BPR)のファーム事例

大手外資系コンサルティングファーム3社の業務プロセス改革(BPR)事例をご紹介します。

マッキンゼー
マッキンゼーは大手製薬会社を対象とした「アジャイル改革」を実施しました。スピード感を持って意思決定できる組織に変革するためです。

全社レベルでの合意をまず形成し、経営陣のエンゲージメントも取り付けました。改革はまずパイロット組織の作成から始まり、機を見て全社にアジャイル組織を導入。結果として、顧客満足度の向上・生産性およびスピードの向上・社員満足度の向上を同時に達成しました。
(参考:マッキンゼーアンドカンパニー

アクセンチュア
アクセンチュアでは、「End to Endの業務効率化」プロジェクトを実施しました。部門単位で切り分けられている業務システムを、取引単位で管理できる部門間システムに変革するものです。

とある会社は、請求書の照合業務を申請部門と経理部門で重複チェックしていました。改革によって部門間での重複業務をなくしたうえ、デジタルツールによってチェック業務を自動化した結果、業務効率の向上とリスク抑制を達成しました。

(参考:アクセンチュア

デロイトトーマツコンサルティング
会計事務所としても世界的に権威あるデロイトグループのコンサルティング部門、デロイトトーマツコンサルティングの事例をご紹介します。

富士通ワイエフシーでは、出産や育児をきっかけに退職しがちな女性をより積極的に活用すべく、2006年度にワークライフバランス推進室を設置。在宅勤務制度を導入して自宅からのリモートワークを推進しました。離職率・労働時間ともに減り、従業員満足度の向上を達成しました。
(参考:デロイトトーマツ

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